2011年3月7日月曜日

これまでとこれから。kenq.info*の1年を振り返ってみる。

kenq.info*を始めてから1年。ということで、この辺りでこれまでとこれからについて考えてみる。

まず、何でこんなことを始めたのかということについて。当初の考えについてはサイト上に書いているので暇な方はご覧ください。

このサイトについて | kenq.info* 研究費・助成金の公募情報を紹介!

簡単にまとめると、目的は以下の3つ。
・研究者が自分の応募できる事業を簡単に見つけられるようにする
・各事業の応募総数を増やす
・これらの取り次ぎを行う事務職員の手間を減らす

目的は現状の反対であって、現状は以下のとおりと考えていた。

・研究者は自分の応募できる事業を見つけられない
・公募元は多くの応募者を集められない
・事務職員は手間が多い

 これらを解決するためのひとつのアイディアとして考えたのが、研究費の公募情報を集めて、紹介するサイトを作ることであった。ひとつにまとめることで、応募する側は情報を見逃しにくいし、応募される側は見てもらいやすくなる。そして、仲介する存在も不要となって手間が減る。その結果、三方ハッピーになることが期待できる

 ここまでがサイトにも書いていた理由だけれども、こればかりではない。個人的なところでは、事務職員としての専門性を磨くこと。これからの大学、そして科学技術の世界の中で、事務職員がどの程度活躍できるのか、活躍に足るための人材となるために必要なものは何か。このようなことを常々考えていて、今もなお考え続けている。法人化以降、それぞれの大学は生き残りのレースを余儀なくされ、その中で事務職員もこれまでように文科省の下請けではなく、自ら考え行動することを求められるようになっている。このために必要となるのが個々の職員が業務の専門性を高めることであり、自分としてはこれまでずっと外部資金に関わってきたので、この道をさらに極めたいと考えたのだった。
 その行き着く先の公募情報のまとめサイト、というのは”事務職員として”何ができるかを考えた上でのこと。これはつまり、研究職出身者とは違うアプローチで、ということである。実は、サイトを作ろうという直接のきっかけになったのは、昨年2月に行われたリサーチアドミニストレーター(RA)研究会であった。リサーチアドミニストレーターについては、第2回の感想として書いた記事があるので参考にしていただきたい。

kenq.info blog: 第2回リサーチアドミニストレータ研究会で考えたこと。

 この場では多くの方の講演があったが、そのおそらく全員は研究者職出身の方であったように思う。研究者の支援のために必要であるのは研究者職出身だと言わんばかりの内容であった。これを見て、わたしはもう少し別のアプローチもあり得るのではないかと感じたのだった。現在の各大学の研究支援に関する部署で研究者職出身の方々を抱えるところはごく少数であり、そのような人材が加わることのメリットは確実に存在する。とはいえ、事務職員は教員の劣化版ではなくて、進化のベクトルが違うだけである。研究職あがりの方が得意とする分野は確かに存在するだろうが、それは研究を支援するという業務として必要とされる能力のすべてではない。たとえば野球で4番バッターばかりを並べれば勝てるわけではないのと同じである。前々からそう考えていだけに、会場の雰囲気には違和感があった。
 他方、それならば事務職員として研究支援のあり方は何だろうということも考えていた。これからの事務職員の可能性を模索する、などというと随分と大層な言い回しだけれども、事務職員としての能力を活かすことができて、研究者の人たちにとって価値あることが何かできないか。その行き着いた先が、現在kenq.info*として存在している、研究費の公募情報を集めたサイトであった。

 
 サイト作りなんてものはほとんどやったことがないために、作るのには随分と時間がかかった。公募情報をどのように集めるのか、それをどのようにまとめるのか、どのように公開するのかなどについても試行錯誤の繰り返しで、今に至っている。今のスタイルが固まったのは大体半年くらい経った頃かと思う。


 およそ1年ほど経って、当時に比べれば随分とアクセスは増えた。現在では1日だいたい100セッション。ツイッターのフォロワーは120くらい、メルマガ受信者は60人。(全然たいした数字ではないが、わりと最近までフォロワー20人そこらだったのだからまだマシになった方なのである)
 とはいえ、その一方で限界が見えているというのもまた現実である。情報の収集と整理、公開には多少の時間がかかる。いい加減に慣れたとはいえ、それでも結構な時間を取られる。そのために余裕があるときには問題ないのだけれども、本業が忙しくなると途端に更新の頻度が落ちるということになってしまう。ここ最近は特に酷かった。
 その結果、日本における公募情報を網羅するということは、現状では果たせていない。これができなければ、結局このサイトも各大学が提供する公募情報サイトと大差ない。これはサイトを維持する意味に関わってくるレベルの問題である。よって、どうやって労力を減らした上で情報を充実させていくかという点が目下の課題である。今考えているのは以下2点。

1) 公募元からの情報提供
各財団の担当者の方へ連絡して、当サイトのフォーマットに会わせた形の情報を提供してもらう。こうすれば、来た情報を貼り付けるだけなので手間が省ける。

2) 編集メンバー募集
同じことをやるにしても複数人でやれば当然に早い。はず。

 正直、どちらも企画当初から考えていたことではあるが、いずれもこのプロジェクトが何をやろうとしているのか、実際にどういうものなのかが分からなければ説明のしようも納得のしようもないということで、これまで一切行ってこなかった。しかし、ようやく1年経って、それなりにまともなサイトとしての認識も得られるようになってきたように思う。そこで、今こそこういったことをやろうとも考えているところである。
 1) については、何度か話を聞かせていただいたことがある助成財団センターさんに相談してみようと思っている(担当者の方、もしご覧になっていたらお願いします)。ここは研究費などの助成を行う財団の発展を支援する財団で、「研究者のための助成金応募ガイド」といった書籍の刊行も行っている。

目的
公益財団法人助成財団センターは、は助成・表彰・奨学等の事業を行う公益財団法人、一般財団法人及びその他の団体(以下「助成財団等」という。)の健全な発展を支援し、その育成に努め、助成財団等に関する情報、資料を収集し、社会一般の利用に供するとともに、助成財団等の活動について一般社会の理解の増進に努め、もって民間公益活動の発展に寄与することを目的としております。

 2) については、もし興味のある方がいれば kenq.info(あっと)gmail.com までご連絡ください。公募情報を探して、それを定型フォーマットでまとめるだけの簡単なお仕事ですww 報酬は健やかな疲労感と達成感。

 その他、もっとこうすれば良いのではないか、といったようなご意見があれば是非コメントでもメールでも結構ですのでいただけると助かります。

 
 あれこれととりとめなく書いてきた。タイトルが「これまでとこれから」であるとおり、これまでの1年の総括とこれからの1年の目標設定のつもりでした。色々と課題はあるものの、それなりに需要はありそうなので今後も続けていこうと思います。これからもよろしくお願いいたします。

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